CFCL代表兼クリエイティブディレクターの高橋悠介。学生時代から得意としていたコンピューター・ニッティングでシンプルながらインパクトの強いコレクションを生み出している。 Photo: Yosuke Suzuki
「Clothing For Contemporary Life(現代生活のための衣服)」の頭文字をブランド名にしたCFCLは、2020年に設立されたばかり。「衣服としての機能性、環境への配慮、最適な国産素材の選択、流通経路の透明性を追求」をコンセプトに掲げ、3Dコンピューター・ニッティングの技術によるニットが特徴だ。
代表兼クリエイティブディレクターの高橋悠介は1985年東京生まれ。文化ファッション大学院大学を修了後、三宅デザイン事務所で経験を積み、2013年から約6年間イッセイ ミヤケ メン(ISSEY MIYAKE MEN)のデザイナーを務めた。学生時代、周囲の学生の縫製やパターンのクオリティの高さを感じていたという高橋だが、コンピューター・ニッティングと出合ったことで自由かつオリジナリティのあるクリエーションが可能になった。「いつか自分でブランドを立ち上げるときには、この技術を使おう」と温めていたという。
糸の余りも限定アイテムとしてアップサイクル。
Vol.1で使用した再生ポリエステル100%の残糸をアップサイクルしたトップ。2色の糸を引き揃えて編み立てるため、1点ずつ少しずつカラーリングや柄のニュアンスが異なる。公式オンラインストアで数量限定発売。「POTTERY TOP」¥29,700
CFCLはファッションカレンダーの見直しを提案した「rewiringfashion」に署名しており、年2回発表するコレクションは、「春夏」「秋冬」ではなく「Vol.1」「Vol.2」と呼ぶ。2021年1月から販売されているVol.1では、花器や茶器といった陶器をテーマに22型のニットを発表した。
壺をイメージしたフィット&フレアの曲線を描くシームレスニットのアイテムは、継ぎ目のない陶器のよう。伊勢丹新宿店で開かれた初のポップアップでは、高橋の以前からのファンだけでなく男女ともに幅広い年齢層が購入したという。ポリエステルのさらりとした肌触りに控えめな光沢感が加わり、ワンマイルウエアからレストランでのディナーまで様々なシーンに対応できる。自宅で洗濯できることも嬉しいポイントだ。
壺をイメージしたフィット&フレアのシルエットが特徴。こちらも公式オンラインストアで数量限定発売。「POTTERY SKIRT」¥46,200
3Dコンピューター・プログラミングにより制作するため、布帛のように裁断による端切れはほどんど出ない。しかしながら、ニッティングでの色ブレを最小限にするため、多めに準備していた糸は余ってしまうことがある。Vol.1で余った再生ポリエステル100%の糸は、トップとスカートにアップサイクルして公式オンラインストアで数量限定販売している。糸を最後まで無駄なく使えるのもニットの利点だろう。
Vol.2コレクションより、ギリシャのイオニア式の柱から着想したシリーズ。ミドルゲージの編み組織に、ふくらみの強いヴァージンポリエステルと再生ポリエステルをミックスして凹凸の強い編地に仕上げた。
サステナビリティ&ストラテジー担当のCSOを置く。
Vol.2コレクションより。2種類の再生ポリエステルを袋状に編み、部分的に水に溶ける糸を使い、縫製後に製品を洗うことで独特のテクスチャーを生み出している。
10年間在籍した三宅デザイン事務所では「社会のために服をつくることを学んだ」という高橋。CFCLでも「責任あるものづくりをしたい」とサステナビリティに取り組んでいる。珍しいのは、ボードメンバーにサステナビリティ&ストラテジー担当のCSO(Chief Sustainability&Strategy Officer)がいることだ。
CSOのもと、ブランドとしての社会に対するアクションを明確にしており、Vol.1では日本のアパレル業界では初めてLCA(ライフサイクルアセスメント)を実施。このLCAとは、商品やサービスの原料調達から、生産・流通、さらには廃棄・リサイクルに至るまでの一連のライフサイクルにおける環境負荷を定量的に算定するための手法だ。
「Vol.1で登場したPOTTERY DRESS 1着をつくる過程から、お客様に長年愛用されて廃棄されるまでに、4.99kgの二酸化炭素を排出している」と数値を算出した。現在は公益性の高いビジネスに与えられる認証「Bコーポレーション」取得を目指しており、認証されれば日本のアパレル業界では初となる。
Vol.2コレクションより。トップやボトムの多くはユニセックスアイテム。ミニマルなデザインで着る人が自由にスタイリングできる。
© akihitoigarashi
7月から販売予定のVol.2は、建築がインスピレーションソースだ。高層ビルのファサードを連想させる独特のテクスチャーを再生ポリエステルと水に溶ける糸で表現したコートやボトム、古代ギリシャのイオニア式の柱を連想させる凹凸のある編地のドレスなどを展開する。
Vol.1量産で使用した素材のうち、再生繊維の使用率は58.11%。全てのプロダクトにGRS認証を取得した再生繊維を使用し、国内での素材調達、生産にこだわっている。これらは再生繊維の調達や輸送、肌触り、販売価格を考慮した結果だ。今後も技術革新とともに、CFCLが行う服づくりに期待が高まる。
Photos: Courtesy of CFCL Text: Yoko Era Editor: Mayumi Numao
東京発「CFCL」が取り組む、未来に責任を持つ服づくり。【イットなサステナブランド】 - VOGUE JAPAN
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