
青木さやかさんの好評連載「48歳、おんな、今日のところは『……』として」――。青木さんが、48歳の今だからこそ綴れるエッセイは、母との関係についてふれた「大嫌いだった母が遺した、手紙の中身」、ギャンブル依存の頃を赤裸々に告白した「パチンコがやめられない。借金がかさんだ日々」などが話題になりました。今回は「ファッションに興味のない人として」です。 【写真】娘さんにヘアアレンジをしてもらう青木さん * * * * * * * ◆黒とネイビーのクローゼット 小学6年生の娘と2人暮らし。 娘は私服で登校するので、毎日、翌日着ていく洋服を鏡前で試着してチェックしている。 自分に似合うものがわかっているなぁと思うし、とても可愛い。 それに比べてわたしときたら、いつの頃からか似合うものがよくわからない。 違う、着たいものがよくわからない。 特別ファッションに興味のある人間ではない。 若い頃から、わたしが洋服を選ぶ基準は 「おかしくないもの」 「持っている服に合わせやすいもの」 である。 結局、同じようなものばかりがクローゼットに並ぶ。黒、黒、ネイビー、黒、ネイビー、ところどころベージュ。自分でも、どれがなんだかよくわからない。たまに洋服屋さんにいけば、次こそはピンクの服を!と心に決めても、またネイビー。
◆いつもの形のいつもの色 「やっぱり定番ですから、ネイビーお似合いです」 「いや、それが、今日は明るい色を、と思ってきたんですよ」 「同じ形で明るめの色もありますよ」 「いや、いいです。ネイビーで」 なんなんだ、あなたは! となじってください店員さん。 洋服は失敗をしたくないのだ。 (ほかのことでは失敗だらけだからせめて、という深層心理なのか) 使わない服を購入して、後悔するのが好きではない。 だから安心の「いつもの形のいつもの色」を選ぶことになる。
◆「好きか、わからないなあ」 「ママ、同じ服ばっかりだね」 「同じじゃないのよ、これが」 「同じじゃん」 「素材が違うから、素材」 「ふうん」 「同じ、かなぁ」 「素材が違うんでしょ?」 「いや、まあ、そうなんだけど、みんなに同じ服だ、と思われてるなら悲しいことです」 「ママが好きで着てるなら、いいじゃん」
◆ウキウキする生活に 聞かれてみて返答に困った。・・・・・わたしが、好きで、着てるなら? 「好き? ママが自分で好きかどうか?」 「うん」 「好きか、わからないなあ」 「え、やば」 遠い昔、好きかどうかで洋服を選んでいたような気もする。いつからか、年齢に合わせてみたり職場に合わせてみたり、洗える素材しか選べなくなったりと、優先順位が変わってきた。 「ウキウキする」から「失敗しない」に変化してきた。 ちょっと待ってよ! ウキウキする生活にしましょうよ、わたし! 安心感のあるクローゼットに ピンクを入れてみようかな。 何かがほんの少し変わるかもしれない。
青木さやか
青木さやか、洋服だけはなぜか「失敗したくないので」黒とネイビー。「好きかどうかもわからない」から脱出したい(婦人公論.jp) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース
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