服作りで綿花栽培から製品化まで行う一貫生産システムの構築が新潟県佐渡市橘で進んでいる。主体は佐渡出身の山本晴邦さん(37)が代表を務める製造業「アルクロワークス」(東京都)。今年に入って縫製工場が稼働し、システムは5年後の完成を見据える。山本さんは「佐渡で新しい文化を創造する気持ちで取り組みたい」と意欲的に語る。
山本さんは上京し専門学校を卒業後、都内の生地製造工場に就職。2016年に独立して同社を立ち上げた。ブランドから注文を受け、カットソーなどの衣類を製造している。
国内の衣料品は生地作りや染色、縫製などの生産工程を分業していることがほとんどで、多くが海外で生産されているという。山本さんは業務の中で、服を作る過程が消費者にあまり認識されていないことを知った。「服は安いことが当たり前になっている。食育のように、どんなふうに作られているか学ぶ“服育”があっていい」と話す。
綿花を育て紡績、縫製などを一貫して行い、知ってもらえる場所をつくりたいと考えるようになった。親がかつて島内で縫製業を営んでいたこともあり、故郷で取り組むことにした。
縫製工場の設置にはクラウドファンディングを実施し、約150人から約150万円の寄付金が集まった。納屋だった建物を改装し、ミシンなどの機材を置いた。事業所「SADOBASE」として、新たに雇用した社員2人で1月にスタートした。
SADOBASEでは、東京の本社で他社の注文を受けて製造している。近年は大きな工場で受注できない少量の製造を求めるブランドもあり、需要があるという。
今後は、自社のオリジナル商品も手掛けていく意向で、服の丈直しといったサービスも行う。従業員も市の雇用機会拡充事業補助金を活用し、市内で数人採用する計画だ。
商品や材料の輸送が必要になるため、離島での服作りにデメリットはある。それでもオリジナル商品を佐渡へ来て買ってもらうことで、「乗り越えていけたら面白い」と話す。
春には綿花の種まきを行う予定だ。将来的には、紡績などの工場を隣接した土地に建設。工場を活用し、服作りを体験できる仕組みを設けたり、イベントを開いたりすることも視野に入れる。
山本さんは「佐渡で取り組む心意気を感じてもらい、若い人らにかっこいい、面白いと思ってもらえるようなものづくりをしたい」と力を込めた。
服作り 綿花栽培から一貫生産へ - 新潟日報デジタルプラス
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