東京都の都立学校が学生服を発注する際、業者を広く募る形を取りながら、制服を採用している学校の約8割が、それぞれ特定の1社のみと契約していることが分かった。専門家は独占禁止法違反に当たる可能性を指摘。都は「ルールを明らかに逸脱している学校があった」と認め、各校への指導を徹底する。
◆専門家「独占禁止法違反の可能性も」
都内では今春、新入生の制服が入学式までに届かないトラブルが起きた。業界からは「1社が独占している弊害が明るみに出た」と指摘する声が上がる。
都教育庁によると、制服は各学校がデザインや色などを記した仕様書をつくって個別に業者に発注。安い価格を提示した業者から順に複数の業者と契約するよう都は学校に呼びかけている。
都は複数の業者が参加できる仕様書とするようルール化して各校に周知しているが、一部の学校では、仕様書で毛織物メーカーや生地の品番などを細かく指定。他の業者が事実上受注できない仕様書になっていた。都によると、制服を採用している都立学校約220校のうち、約8割が1社のみと契約している。
都は、複数の業者との契約を進めるよう近く各校への指導を徹底する。担当者は「価格競争が働かないことで、制服を購入する保護者にしわ寄せが出ている」とみている。
公正取引に詳しい平山賢太郎弁護士は「他社を不当に追い出すことは独禁法が定める私的独占などに当たる可能性がある」と指摘している。
◆「品番や色番は暗号のようなもの。特定の業者しか入手できない」
都立学校の一部で学生服が不適切に発注されていることについて、都内で学生服の販売店を営む男性が本紙の取材に応じ、「学校ごとに出入り業者が裏で決まっており、参入の余地はない」と業界の実態を明かした。
ある都立高校がつくった仕様書には、品番や色番など、生地に求める条件が細かく指定されていた。男性は「品番や色番は暗号のようなもの。この生地は特定の業者しか入手できず、正常な競争になっていない」と指摘。「建前は業者を広く募っているが、どの学校にどの業者が出入りするか暗黙のルールで決まっている。制服代が高くなる要因にもなっている」と明かす。
都によると、今春、新入生の制服が入学式までに届かなかった68校の約8割が1社との契約だった。男性は「複数の業者と契約していればもしもの時の保険にもなる。今回のトラブルが業界のあしき慣習を変えるきっかけになってほしい」と訴えた。(加藤健太)
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