ジャケット、ワンピース、シャツ、コート……。台の上に広げられた洋服に、統一感はまったくない。ただ、どれもそれなりにくたびれている。そして、文字が記されている。デザインにも見えるが、そうではない。つづられているのは、その服について語られた言葉だ。
兵庫県西宮市在住の山村祥子(1984年生まれ)の個展「いらない服に別れを 2020-2022」が、神戸市中央区のC.A.P.(芸術と計画会議)で開かれている。2020年、アーティスト・イン・レジデンスでパリに滞在した山村は「いらなくなった服を譲ってほしい」と募集。応じた人たちにインタビューし、その言葉を英語や日本語などで丁寧に書き起こして、シルクスクリーンでそれぞれの洋服に転写した。
どれくらい着たか。どんな思い出があるか。なぜ手放そうと思ったか。世代や出身地など着ていた人のバックグラウンドはさまざまで、語られる内容も極めて個人的だ。当時の恋人とバカンスで着た服。直前に亡くなった父からもらった服。エジプトで宗教的制約に抵抗し着ていた服。思いの詰まった服ばかりではない。手ぶらで来た人が、その場で脱いだ片方の靴下というのもある。
いらない服作品に 山村祥子展 一着一着に人となり転写 - 毎日新聞
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