服を物々交換するサービスが人気だ。ネットショッピングの普及や環境への配慮など消費者の行動や意識が変化する中、捨てずに好みのものを手に入れられる手法が若者らに新鮮に映っているようだ。
買うタイミングと手放す機会を一緒に
1月上旬の日曜日、東京都渋谷区のビルの一室に、期間限定のアパレルショップ「クローゼット・トゥ・クローゼット」が開店した。訪れた人は持参した服を回収ボックスに入れて店内へ。300着を超えるコートやセーターなどの古着の中から気に入った服を選び出し、持ち帰った。
店は、「服を売らないアパレルブランド」を掲げる、エナジークローゼット(東京)が運営。入店料3000円を支払い、下着、靴、子供服以外の3着を持ち寄れば、会場に並ぶ古着3着と交換できる。
この日、ブラウスやニットなどをカーディガンとパーカに交換した都内の30代女性は「着なくなった服を古着店に持って行っても大した値はつかないが、ここでは来るたびに様々なジャンルの服と出会え、手に入れられる。自分の服も誰かの役に立つかもしれない」と満足そうに話す。
代表の三和沙友里さんは学生時代から古着を愛好。服の大量廃棄の実情を知り、2019年に起業した。「服を買うタイミングと手放す機会を一緒にすれば、服の廃棄を減らせると考えた」。店はこれまでに全国で40回以上開き、約1万着の交換が成立したという。
不用品の買い取り販売などを手がけるゲオホールディングス(名古屋市)が昨年2月に行った身辺整理に関する調査では、経験者約1600人のうち、81%が衣料品を処分したと回答。その方法では、「リサイクルショップに売る」が63%で最多だったが、「捨てる」も60%に達した。環境省によると、2020年に国内で供給された衣類約82万トンのうち、約51万トンが廃棄されると推計され、廃棄削減は喫緊の課題だ。
リサイクル店運営のベクトル(岡山市)は昨年、東京都内の世田谷上野毛店で、持ち込んだ服や雑貨を査定し、同価格の商品と交換するサービスを始めた。不用な服(5点まで)と同じ数の服を無料で交換できるコーナーには、未使用品が並ぶこともある。社長の村川智博さんは「宝探しのような感覚で服を選んでもらい、少しでも服の廃棄の削減につながればいい」と語る。
「誰かの必要な物になる」充足感
「Chain(チェイン)」は、インターネット上の複数人の間でも物々交換ができるサイトだ。不用な物を出品したユーザーは、ほかのユーザーの物に「ほしい」ボタンを押し、複数人の「ほしい」の輪が完成すると交換できる。これまでに、ドリップバッグコーヒーと名刺入れ、ビジネス書で成立したケースがあった。運営する外谷洋二郎さんは「お金に縛られず、欲しいモノを手に入れられるインフラにしたい」と意気込む。
シェアリングエコノミー協会(東京)理事の甲田恵子さんは「物々交換では、自分にとって不用な物が誰かの必要な物に変わるという充足感を得られるうえ、欲しい物が手に入るかもという期待も持てる。気軽にサステナブル(持続可能)に貢献できる点もうけており、今後も広がっていきそうだ」と話している。(読売新聞生活部 伊丹理雄)
不用な服を物々交換 気軽にサステナブルに貢献 - 大手小町
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