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服といかに向き合うか。2023年秋冬パリ・コレクションが今月7日までの9日間開かれた。ファッションの美を改めて問いかけたミラノに続いて、パリでも服の生地や形の吟味、着る人との関係性を考え直しながら服が持つ新たな豊かさを探す流れが目についた。劇場を会場に、服そのものをじっくり見せて、その芸術性や工芸性をアピールするような演出も目立った。
コムデギャルソンのキーワードは、「スタート地点に戻りたい」。モデルはいつもと違って、4人や2人など複数で登場。ジャズやパンクなどワンシーンごとに曲と服が変わる演出だ。
生地はいたってよく見られる普通のウール地やサテン地など。それを大きな布の面として用いた四角いドレスに仕立て、一方では小さな輪っかを複雑につなげてバブルドレスを形作る。印象はいつもよりシンプルでストレートだが、力強い造形のすごみ、それと共にこのブランド特有のかわいらしさもにじむ。デザイナーの川久保玲は「(服作りに必要な)生地やパターンなど既存のものをそのまま何もしないで使った」と話した。
近年の川久保は、コロナ禍や世界各地の紛争などによる様々な憂いや怒りを元に表現してきた。しかし、そんな混迷の時代の中でいま改めていったんゼロに戻り、そこから新たな創造をみつけるという強いメッセージが伝わってきた。
ドリス・ヴァン・ノッテンもその原点に立ち返った。テーマは「服への愛」。大きな会場でショー全体を巨大な鏡に映しながらも、モデルは観客席のすぐ脇を歩く趣向だ。間近に見えるのは、着古して色あせた感じの花柄やつぎ当て風のパッチワーク。「服と着る人の間に生まれる親密で優しい時間」を大事にするとして、いとおしんでひとつの服を着続けるような感覚を手の込んだ生地やディテールに詰め込み、なんとも優美な作品に仕上げた。
ここ数シーズンは主に、パリ郊外の大会場で反戦などメッセージ性のあるショーを開いてきたバレンシアガも、今回はパリ中心部の装飾美術館内の小さな会場を選んだ。作品の発想源はデザイナー、デムナが6歳時に初めてテーラーでパンツを仕立ててもらった体験から。
創始者から続くブランドの造形的なテーラリングの新たな手法として、ジャケットと解体したパンツを合わせて再構築したり、裏地に縫い付けたチューブで空気を詰めてシルエットを変えたり。
サンローランも広大なランウェーから、観客のすぐ前のシャンデリアが連なるステージをモデルが歩く演出へ。得意の大きな肩のジャケットに、今回はパンツではなく深いスリット入りのタイトスカートを合わせ、ストールをたなびかせてぐっとフェミニンな印象。
ザ・ロウもストール付きのコ…
服といかに向き合うか、創作の原点見つめ直す 23年秋冬パリ・コレ:朝日新聞デジタル - 朝日新聞デジタル
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