「人類はこれ以上服をつくる必要がありますか?」。デザイナーの中里唯馬(37)は、行き場のない世界中の古着が流れ着くアフリカで、こんな質問を投げかけられた。1月にパリで開かれた2023年春夏オートクチュールコレクションでは、アフリカから着想を得た作品を発表。ファッションを通じて社会の課題を示そうと模索している。
1月下旬のパリ右岸。ショーが2日後にせまるなか、中里のアトリエではスタッフが集中して作業していた。ラックには今回発表する新作が並ぶ。モデルが歩く傍らでは、針を手にしたスタッフが服づくりを続けていた。ヘアメイク、服の組み合わせ、ランウェーに出す順番など、直前でも決めなくてはならないことが山のようにある。中里は「この状況が半年に1回やってくる。大変です」。
08年にベルギー・アントワープ王立芸術アカデミーを卒業し、15年に「ユイマナカザト」を設立した。翌年7月、日本人では森英恵以来2人目となるパリ・オートクチュールコレクションの公式ゲストデザイナーに選ばれ、継続的にパリで作品を発表している。
オートクチュールは大量生産の既製服ではなく、富裕層に向けた1点ものの手づくりの服だ。最高峰の舞台で未来のファッションを模索しながら、中里はサステイナビリティーについても考え続けてきた。
リサイクルの名のもとに世界中で集められた古着は最終的にアフリカへと運ばれ、おびただしい数のごみになっている――。この問題をニュースで知り「服をつくりだす立場の人間として現状を見て、これからのデザインを考えたい」と、昨年10月にアフリカ・ケニアを訪ねた。
圧倒されるほどのゴミの山を…
「これ以上服は必要?」 アフリカで聞かれたデザイナーが考えたこと:朝日新聞デジタル - 朝日新聞デジタル
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