片岡さん「あの頃着られなかった服は古着で楽しむ」(写真:片岡鶴太郎さんのインスタグラムより)
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ファッションは人とのコミュニケーションツール
コロナ禍では、芸能界も大混乱でした。このまま仕事が飛び、自粛期間が続けば、長い期間、人様の前に出ることはないのかもしれないということも考えられました。しかし、私は「じゃあ、その期間で自分自身を改造しよう」とポジティブに決心!
この間に見た目の印象を変えてみよう、次に人様の前に現れた瞬間に、「お! 鶴太郎、変わったな!」と驚かせてやろうと思ったのです。そのために自粛の日々を生かすと決めました。
そして2年後。髭を生やして以前よりもシェイプされた顔、白い髪のロン毛スタイル。この変身に、驚いてくれた方がたくさんいました。
新しい顔と髪型には大満足だったものの、容貌が変わりすぎて、これまでのファッションが全部似合わなくなってしまいました。
元々ファッションは芸人の仕事が多かった20代の頃から大好きでしたし、実はヨガを始めてだいぶ痩せてからはスタイリストをつけず、「俺、自分でやるよ」と宣言してコーディネートしていたこともあって、新たなスタイルを考えるのは全然苦ではありませんでした。
それまでは痩せた身体を生かして、女性ものの服を着たり、ベレー帽を合わせたりと、ユニセックスのような服を好んで着ていました。
しかし、髭面にそれをやってしまうと“おネエ感”が出てしまう。それで、方向性をダンディズムというか渋い感じへと変えたのです。
新しい服を着るのはもちろんのこと、それが似合っていればなおさら、自然にテンションが上がりますよね。「今日はこれが最高の組み合わせ」と思えたら、自信も湧いてくるし、幸福感に包まれる。
また、ファッションは人とのコミュニケーションのきっかけにもなりますよね。毎日会っている仕事仲間でも、新しい服や新しいコーディネートだと、「おっ、その服初めてですね」「似合いますね」と反応してくれる。
特に女性はファッションにリアクションがありますので、感想が参考になります。
同じ服でも着回しでイメージが変わる
そうそう、正月に家族と集まったら、「それ、去年も同じの着ていたよ」なんて、指摘されたことがある人はいませんか? 同じ服を着ていたって小物や組み合わせで雰囲気はガラッと変わりますよ。
私自身、新しい服ばかり着るのではなく、着回しもたくさんします。下のパンツが決まれば、上着を替えて10パターンくらい組み合わせを作っておく。
『老いては「好き」にしたがえ! 』(著:片岡鶴太郎/幻冬舎)
そのコーデを忘れないように、鏡に映った全身を自撮りして記録しておきます。今年2023年の正月には数日間の休みがあったので、30パターンくらいの組み合わせを作り、写真に撮っておきました。
そんな作業がすごく楽しい。服のコーディネートを始めると4、5時間は瞬く間に過ぎてしまいます。
自分を客観的に見られて初めて、似合う服に出合える
服のコーディネートは、自分を客観的に見て、着せ替えをする作業。服を引っ張り出し、ひとつひとつを身体に合わせていきます。
「自分の今の顔と体形にはどんな服が合うだろう」と考えながら、1着ずつ見たり着たりする。何度か繰り返すうちに、「おっ!」と思えるものに出合える。
ちなみに、どうやったら自分に似合う服がわかるのか。
まずはいろいろ試してみて、しっくりくるものを探してみましょう。
ポイントの一つは、自分に客観的に向き合うこと。例えば、私の頭は絶壁型なので、スキンヘッドにして似合うわけでもない。だから、以前は帽子をかぶっていました。
また、小柄でスタイルも良くない。下手をすればSサイズでも大きい時があるため、女性ものも着るようになったのです。
流行は復活するから、服は断捨離しない
コーディネートを考える時は昔の服も引っ張り出し、「今の自分なら、昔のこの服、いけるんじゃないか」と合わせてみる。
すると、以前は似合わなかった服が、体形と顔の変化や年齢を重ねたことでしっくりくることも。こんな瞬間が最高に嬉しいんですね。
服も自分も年を重ねて、再びマッチするようになるわけです。ファッションは流行が一回りするので、一度廃れたデザインも数十年すると復活します。
例えば私が太っていた20代の頃に着ていた服は、今の私には大きいですが、オーバーサイズでブカブカの服を着るのが流行(はや)れば、また着られる。
だから私は、服を断捨離しません。似合わないと思って捨てたら、着られる時が来た時に後悔しますから。捨てずに持っているに限ります。
実際に、「あっ、あの服が合いそう!」と閃いて探したらなくて、「還暦で引っ越しする時に、人にあげたんだった……」と気づいた時はショックでした。
20、30代に着ていた服もごっそりとってあります。自宅の洋服部屋から溢れるほどの洋服がありますが、この先、70、80代でまた着られる服があると思いますから、堂々とタンスの肥やしにしています。なんでもかんでも捨てればいいってもんじゃないですよね。
あの頃着られなかった服は古着で楽しむ
ここ数年は古着に凝っています。古着屋に通い始めたのは60歳を過ぎてから。
きっかけは、ある日次男のファッションを見ていて、「なかなかいいなあ。どこで買ってるんだよ」と尋ねたところ、古着屋だと。
私が「古着ってトレーナーとかジーパンばかりだろう。そういうの、俺はダメだなあ」と言うと、「今は違うんだよ」と次男。そして彼の行きつけの三軒茶屋の古着屋に連れていってもらいました。
そこには、私が芸人として多忙な時期を過ごしていた80年代に流行っていた、ジャンポール・ゴルチエやヴェルサーチェ、グッチ、コム・デ・ギャルソン、メゾンマルジェラといった派手めなブランドがずらり! 実は当時私は太っていて、それらのブランドを着られなかったのです。
私はすっかりその店にハマって馴染み客となり、80年代以降に生まれた若い子たちに交じって、月に1、2度買い漁っています。
店員の若い男性が、私が以前買ったものをよく覚えてくれていて、アドバイスしてくれる。彼はとても物知りで、新しいブランドを教わることも多いです。
そうして私の体形に合いそうな男性のSサイズや女性ものを買っては、家に帰って持っている服とのコーディネートを考えて楽しむ。
ものにもよりますが、80年代当時の価格の5分の1くらいだと考えれば、安いもんでしょう。これもまた、あの時やりたかったことを、実現していることになるのでしょうね。
※本稿は、『老いては「好き」にしたがえ!』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。
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