ケリー・アン、BBCニュース、シンガポール
![Two girls in cosplay dresses along the street in Beijing](https://ichef.bbci.co.uk/news/640/cpsprodpb/13F10/production/_131008618_gettyimages-658257222-1.jpg)
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「中華民族の感情を損なう」――。そんな理由で国民の発言や服装を禁止する法改正が中国で検討されており、論議を呼んでいる。
中国当局は最近、治安管理処罰法を数十年ぶりに改正する案を公表した。
成立すれば、服装などに関する規制に違反して有罪とされた人は罰金を科されたり、刑務所に収容されたりする可能性がある。
ただ、どういうものが違反にあたるのか、改正案には具体的に明記されていない。
ソーシャルメディアのユーザーや法律の専門家らは、行き過ぎた規制を避けるため、内容を明確にするよう求めている。
インターネットでは多くの人が法改正について、過剰でばかげていると批判している。
SNSなどで疑念噴出
議論の的となっているのは、「中華民族の精神に悪影響を与えたり、感情を傷つけたりする」衣服やシンボルを身につけたり、他人に身につけさせたりした人について、最大で15日間拘束され、5000元(約10万円)以下の罰金を科される可能性があるとする条項。
同様の影響を引き起こす記事を作成・流布したり、発言をしたりした人についても、同じように処罰される可能性があるとしている。
改正案はさらに、「地域の英雄や殉教者らの名前を侮辱、中傷、その他のかたちで侵害」することや、記念像を破壊することも禁じている。
どのような場合に国民の「感情」が「傷つけられた」と取り締まり当局が一方的に判断するのか。その点をめぐって、インターネットでは疑問の声が上がっている。
「スーツとネクタイを身に着けるのもだめなのか? マルクス主義は西側で生まれたものだ。それが中国で存在しているのも国民感情を傷つけていることになるのか」。中国のソーシャルメディア「微博(ウェイボー)」には、そんな投稿もみられる。
着物を着ていて拘束も
中国国内の法専門家らも、改正案の表現はあいまいで、権力の乱用を招きかねないと批判している。
中国政法大学の趙宏教授は、明確さの欠如が個人の権利侵害につながる恐れがあると、6日公開の記事で指摘。
「取り締まりに当たるのは通常なら警官だろうが、その人物が『感情の傷』を独自に解釈し、法律の範囲を超えて、人々に道徳的判断を押し付けることが起こるかもしれない」とした。
そして、蘇州市で昨年、日本の着物を着ていた女性が、「けんかを売り、トラブルを引き起こそうとした」として拘束された出来事を引き合いに出した。この事案は中国で大きく報じられ、中国のソーシャルメディアでは怒りの声が噴出した。
旧日本軍の軍服の模造品を着ていた人も
厳しい取り締まりは、他にもみられる。今年3月には、夜市で旧日本軍の軍服の模造品を着ていた女性を警察が拘束した。
先月も、北京で行われた台湾の歌手、張恵妹さんコンサートで、虹の柄の服を着ていた人たちが入場を拒否された。
中国のインターネット界で有名な社会問題評論家は、「着物を着ることが中華民族の感情を傷つけ、日本食を食べることが中華民族の精神を危うくするのか? 伝統ある中華民族の感情と精神は、いつからそんなにもろくなったのか?」と書いた。
今回の法改正の動きは、習近平国家主席が2012年に最高指導者となって以来進めている、模範的な中国国民とは何かの再定義の一例だ。
中国共産党は2019年に「新時代公民道徳建設実施綱要」を発表。礼儀正しくあること、炭素排出量の少ない旅行をすること、そして、習氏と党を「信頼」することなどを求めている。
「中華民族の感情を損なう」服装を禁止、中国が法改正案 - BBCニュース
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