
ナナミカの服といえば、人気のザ・ノース・フェイス・パープルレーベルを筆頭に、ゴールドウインとの協業による多彩なファンクションに目がいきがちだが、実はパターンなどの細かな配慮も行き届いている。 例えば、椅子に座ったときに前傾姿勢で背中が露出しないように後ろの着丈を長く設定したり、襟腰をルーズになりすぎない高さに設定したりと、随所に丁寧さが感じられる。
ナナミカ 代表取締役 本間永一郎さん 1960年生まれ。ゴールドウインでマリンやアウトドアのブランドを担当したのち、現ブランドディレクター、今木高司さんらとナナミカを設立。ザ・ノース・フェイス・パープルレーベルのヒットを機に、世界的人気を獲得。ヨットを趣味とする海男。
「具体的にビジネスでの着用を意識したのは、10年ほど前。ユーザーにカタカナ職業の方も多くいらっしゃって、着方次第では仕事でも使えるカジュアル服を作り始めたんです」。 このように、今でこそオンとオフの境目を縦横無尽に往来するように映るが、当初からそれは視野に入っていたのだろうか。
「創業当時は、ビジネス着用について具体的には考えていませんでした。けれど、今から35年ほど前。仕事でヨーロッパを訪れた際、お堅いはずの銀行員がポロシャツを着ていたことに衝撃を受けました。そのとき、いつか日本のワークスタイルももっと自由に、ゆるくなる時代を夢見たのは確か。 日本人は、洋服を着るようになって150年くらいの、まだまだひよっこ。スーツとそれ以外、というような感覚で、その合間を埋めるような存在は少なかった。それを考えると、洋服に対して僕らができることはまだあると感じています」。
ナナミカがボーダーレスに使える日常着を提案し続けて20年弱。長く支持されている理由は、本質に基づいた服作りにほかならない。「うわべだけのギミックに頼らないようにしています」と本間さんは続ける。 「男のカジュアルって、モードを別にすれば、スポーツ、ワーク、ミリタリーくらいしかベースがないんですよ。僕は服の世界で過ごしてもう40年。その半分はマリンウェアやアウトドアウェアの企画をして、実際に自分で着用し研究を重ねてきたわけです。 だから、洋服のディテールにはどんな意味があるのか。出自や機能を理解したうえで服に落とし込みます。ディテールのデザインだけを安易に使って見た目が格好いい新作に変換するという作業は絶対にやりません。結果、 20年前の服をデザイン画で見たら、今と同じじゃん!と言われますけど(笑)」。 ただ、我々はそのブレない姿勢こそが、まさにナナミカだと考える。
「宇宙に行くわけでも、富士山のてっぺんで仕事をするわけでもありません。だから、“ジャストスペック”というのを心がけています。 アイテムに機能を“正しく”落とし込んでいくことが大事。そして、エモーションを満足させるデザインにする」。 スポーツウェアの持つ普遍的な価値を日常着に収斂させる。この創業より変わらない姿勢が、老若男女を境界線なく魅了する神髄と見た。 芹澤信次=写真(人物) CBK=写真(取材) 菊池陽之介=スタイリング 竹井 温(&’s management)=ヘアメイク 高村将司=文
OCEANS
機能素材を日常に落とし込む「ナナミカ」の“ジャストスペック”な服作り(OCEANS) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース
Read More
Tidak ada komentar:
Posting Komentar