2021年12月期第3四半期において、アパレル事業は6.5億円の売り上げを達成(前年同期比132%)。ブランド認知の広がりとともに順調に推移しているが、スノーピークが目指すのは「売り上げだけではない」という。地域のため、地球のため、そして幸せな未来のために、アパレル事業が取り組んでいることとは。
リピーター続出! 服づくりの過程で生まれたローカル体験ツアー
前回は、キャンプでも都会でも着られるスノーピークの服づくりを紹介した。スノーピークが掲げるもう1つのアパレルラインが「LOCAL WEAR」だ。コンセプトは「その土地を着る」。つまり、その土地に根付いた生地や衣服に注目し、日本各地の伝統的な「着る」文化を現代につないでいくというものだ。
現在、スノーピークの地元である新潟県内と、岩手県一関市の2つのエリアの「LOCAL WEAR」を、それぞれの地元の生産者と共同で作っている。「LOCAL WEAR」を手掛ける中、服を作って売るだけで終わらせなかったのがスノーピークだ。
「アパレル事業を立ち上げるとき、社長の山井(梨沙)と地方の老舗生地店を回りました。素晴らしい布がたくさんあるのですが、使いたいと相談しても、織り機がなかったり職人がいなかったりして実現が難しいことが多々ありました。日本の古き良き技術や伝統が失われていくことに危機感を抱いて生まれたのが、『LOCAL WEAR TOURISM』なんです」(スノーピーク 未来開発本部 開発部 Apparel開発課の菅純哉氏)
「LOCAL WEAR TOURISM」とは2018年5月、新潟県の佐渡島で初めて開催された体験ツアーだ。日本各地の服づくりの現場で後継者不足が加速する中、地域で続く生地づくりの労働作業と作業着の関係を追体験することで、日本の魅力的な文化や産業を継承していくことを目的にしている。
「服はあくまでもフィルターの一つ。服を通して地方の良さを体験してもらって、その地域に愛着や関心を持ってもらいたい」と菅氏。「LOCAL WEAR TOURISM」では、ほかのツアーでは体験できない内容が凝縮されている。例えば21年10月に広島県福山市で開催したツアーは「デニム」がテーマ。デニム工場の見学ツアー、藍染め体験をはじめ、廃棄されたデニムを加工するパッチワークのワークショップ、地元のデニム生産者との焚き火を囲んでのトークセッションなど、1泊2日では余りある内容となった。
このツーリズムは現在、「WEAR」のほか、地元ならではの食を体験する「LOCAL FOOD TOURISM」などにも横展開しており、好評を博しているという。
「スノーピークでは会員向けのイベントSnow Peak Wayをはじめ、さまざまなキャンプイベントを実施しています。中でも顧客満足度が一番高いのが、この『LOCAL TOURISM』。リピーターも多く、毎年同じ場所に旅する方もいます。キャンプ経験の無い参加者が多いというのも特徴です」(顧客創造本部 販売計画部 シニアマネージャーの加藤寿弥氏)
創業以来、燕三条という地域に根付いたものづくりを続けてきたスノーピークにとって、地域産業や文化の衰退はひとごとではない。ツアーという形で地域や産業を盛り上げていく取り組みは、この先も継続するという。
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