
【茨城】障害の有無や年齢にかかわらず、誰もが着やすく楽しめる「インクルーシブファッション」。開発に取り組んできたアパレル大手「アダストリア」(本社・東京都渋谷区)が12月上旬、水戸市内で服をリメイクする受注会を開いた。
アダストリアは、服にギミックと呼ばれる仕掛けを施すことで、着やすさとおしゃれを両立する服の開発に取り組んできた。襟元や裾などにファスナーやボタンを取り付けることが、ここでいうギミックだ。
2021年にプロジェクトが発足してから、障害のあるメンバーも加わってギミックの開発を続けてきた。
開発に携わった一人の鈴木大輔さん(33)は、事故で18歳の頃から首から下がまひし、車椅子生活を送っている。今までは着やすさを優先して、ジャージーや面ファスナーで留められた服を着ていたが、「パジャマのようでおしゃれとはほど遠かった」。
鈴木さんが自身もはきながら推すのは、「センターオープンファスナー」というギミックのついたズボン。ズボンの正面にファスナーが2本、腰から足元まで縦に続く。2本のファスナーをひざまで下ろせば前が開き、トイレにも便利な形だ。デザイン性もありつつ、着替えが時短できる機能性も兼ね備える。
シャツの袖口も、工夫一つで変わる。
メンバーの土井唯菜さん(30)は、生まれたときから低身長症で身長は135センチ。胴と比べて手足が短く、大人用の服ではサイズがなかなかそろわなかった。「キッズ服はサイズはあっても、デザインがどうしても。あまりに可愛すぎても着られないので」
服は自分で直してきたが、簡単な作業ではない。シャツの袖を短くするのにも幾つもの工程を踏まないといけないため、服を着ることを諦めてしまうこともある。
そこでアダストリアが開発した「ワンプラボタン」は、袖口の裏表両面にボタンがつき、裏返して短くしても固定され、かつ自然なデザインになるというギミック。障害がなくても、例えば皿洗いをするときに袖がぬれないように短くできるのも、うれしい機能だ。
「好きな服に好きなギミックをつけたり、当たり前にギミックがついた商品が並んでいたりすることを、流行にしていきたい」と土井さんは話す。
受注会では、購入者が普段の悩みを相談しながら、希望するギミックやそのサイズ、どこにつけるかなどオーダーメイドするよう決めていった。
プロジェクトリーダーの大谷知加子さんは、「サイズ展開がSMLとあるように、ギミックがある商品が当たり前に並ぶようにしたい」と話す。その心は、障害や年齢を理由におしゃれを諦めてほしくないから。「ファッションを楽しみ、どんどん服にときめいてほしい」と願っている。(富永鈴香)
障害にかかわらず着やすい服でトキメキを アパレル開発:朝日新聞デジタル - 朝日新聞デジタル
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